今回は、JST ERATO中村巨視的量子機械プロジェクト内のグループリーダーとして超伝導量子コンピュータの開発を進める田渕豊氏(量子コンピュータはじめましたで量子コンピュータの作り方も紹介している)に現場の研究者視点から話を聞いた。 DRAMと超電導量子ビット 超伝導量子ビットの説明の前に通常の我々のコンピュータ上でどのようにビット(以降、量子ビットと区別するために古典ビットと呼ぶことにする)が物理的に表現されているか見てみよう。我々のコンピュータ上の情報の保持はDRAM(動的ランダムアクセスメモリ)が担っている。電源をオフにしても情報を保持できるハードディスクドライブと異なり、DRAMはCPUが行う計算のための作業領域として情報の保持に使われる。